10月27日よりImagenSubliminal サブリミナル・イメージ。スペイン建築の風景 を、在京スペイン大使館にて11月16日まで開催いたします。建築家ハコボ・ガルシア-ヘルマンの企画によるこの展覧会では、写真家兼建築家で構成するImagenSubliminal (ミゲル・デ・グスマンとロシオ・ロメロ)が21世紀初めから写真で収めてきたスペインの重要な建築の多くをご覧いただけます。
同展覧会のキュレーターであるハコボ・ガルシア-ヘルマンより:
複雑で未完成そして多面的なポートレートは、名高い建築家による大規模なものから、新人建築家による小規模ながらも力強い建築までが含まれます。
これらの作品が、過去20年間の建築、都市計画や、スペイン社会の現実について語っています。マドリード周辺の都市計画の拡大、文化財として規範になり得た建造物、様々な地理的条件でスペイン建築が周りの風景と向き合う様子、歯止めのきかない国際化の徴候(この場合は若い建築家たちによるものですが)が見られます。
本展覧会の作品や写真は、時間の一空間を切り抜き、そのひとつひとつが同等な力を有していることから、様々な基準での分類が可能となります。しかしながら、ミゲル・デ・グズマンとロシオ・ロメロの眼差しにより、全ての写真が画像としての技術的な精度と仕上がりの完璧さだけでなく、小さな小さな物語またはストーリーに変わり得るのです。ImagenSubliminalの作品は、建築写真に必要なドキュメンタリーの条件を超越し、また積極的にそれを妨害して、叙述的ベクトルを組み込むことにより生命を吹き込んでいます。装飾がある位置(常に微妙な動作をしているように思われる)、被写体と自然光・1日の瞬間の関係(常に意図的な方向に傾いて物体の知覚を指す)、そして、動作を司る主人公としてまるで肉体を持ち擬人化されたかのような建築物からのベクトルが示されています。
これは、ImagenSubliminalによってもたらされた画像により、建物というものが、常に起こりうる出来事の当事者であるという舞台に変換される方法です。また、現代建築写真がもつ、冷たくて距離感のあるドキュメンタリー性に対し、受動的であることに甘んじず、画像をフィクションに変えられる垢抜けたデバイスとなったカメラを駆使して挑んでいます。
ミゲル・デ・グスマンとロシオ・ロメロが別のテクニックで実践した「Marca de la Casa」は、フォト・ルポタージュに通常付随する短編ビデオです。サスペンス、サプライズとユーモアが見られる、まるで映画のミニ・シナリオのように展開する本当の意味での「短編」となっています 。
建築を脚本に変換してハプニングを組み込む。そして最高の建築に内在する不可避的に人工的で逆説的、且つ夢のような性質を主張するドキュメンタリーの確実性の代替として確立させる。これはImageSubliminalの隠れたプログラムの一部であります。
会期と開館時間
2017年10月27日から11月16日まで。11月1日水曜日は閉館。
月曜日から金曜日10:00-17:00、土曜日10:00−13:00。
入場無料
会場
〒106-0032 東京都港区六本木1-3-29
スペイン大使館展示室
更に、12月1日にスペイン大使館において、IN ACTION: 日本とスペインにおける建築家の新しい社会的な役割 が、建築家ホルヘ・アルマサンによる企画とビセンテ・イボラ(アリカンテ大学)や岡部明子(東京大学)の参加で開催されます。日本における1990年代のバブル経済崩壊や2011年の東日本大震災、スペインにおける不動産バブルの崩壊は、建築家や都市計画家にどうような影響を与えたのか?このシンポジウムでは将来の社会における建築家の役割について、また、脆弱で混乱した状況からの社会再構築の方法論について議論します。